モブ沢工房

プログラミングとかLinux関連(特にOSSのグラフィックツール関連)とかレトロゲームとか3Dプリンタやら日曜大工等、色々。

王滝村滝越地区について

今回は真面目な記事ゆえに一人称を「私」とします。

今回の御嶽山噴火につきましては、王滝村に縁のある者として、犠牲者の皆様とご家族・関係者の皆様に深く哀悼の意を捧げます。

また、警察・消防・自衛隊の皆様の働きには、 感謝の言葉ではまったく足りませんが、 本当に、まことにありがとうございます。 今後も二次災害が起きたりせず、救助・捜索活動が無事に終わりますよう願っております。

さて、聞く所によれば大した降灰すら見られていない滝越地区なんですが、なんだかマスコミが殺到しているようです。 もしかするとそれは、監視カメラが捉えた火砕流が「滝越」になっていたからでしょうか…。


国交省カメラが斜面流れる噴煙捉える - YouTube

実はあのカメラ、地名の分類としてはどうかわかりませんが、いわゆる人里としての滝越地区には存在しません。

2001年頃の画像ですが(この頃は林道のゲートが閉ざされておらず、入っていけた)

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この写真の右側の木々の中、茶色い鉄柱の先端についているのが当時の監視カメラです。 左側の林道が滝越地区からの道ですが、滝越地区は右側の山の稜線のはるか下に存在し、ここからは全く見ることはできません。

滝越地区から直線距離ではさほど離れていませんが、林道を登り続けた人里離れた場所に存在します。徒歩でだいたい40分というところでしょうか。写真を取りながら上がったため、この時の記録では10時13分ごろに滝越を出発、カメラには11時26分に到着しているようです。(私の脚力は極めて貧弱です)

状況は現在でもおそらくそれ程変わっていないものと思われます。

というのも2001年当時、同位置から撮影した御嶽山が、現在の監視カメラの画角とほぼ同じ映像なので。

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さて、この角度で映る御嶽の手前に滝のある川は実は「下黒沢」であり、火砕流の流れ下った濁沢川は、さらに山を越えた向こう側の深い谷間に存在します。

どれぐらい深いかというと、これぐらいです。

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要するにこういう状況で土石流が滝越地区を直撃するには、かつての西部地震における御嶽崩れをはるかに超える事象が発生しなければ、あり得ない地形であるということです。

さらに、濁沢川が土石流に襲われた場合、孤立しかねず危険と言われているのが、濁沢川にかかる橋のようです。

その橋は、以下の映像ですが

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向かって左側が滝越地区方向となります。高さはおよそ15〜20m程度と思われます。だいたいRX-78ガンダムの18m程度の高さを想定すればいいという感じでしょうか。

このような高い位置にある橋が土石流に直撃されるとすれば、 それが上流に存在する数々の砂防ダム・砂防ゲートを全て突破して来る…それはさすがに御嶽崩れ程では無いにしろ、広島の土石流をすら上回るほどの、かなりの規模であるということになります。

私にはあまり起き得ない現象のように思われますが…どうでしょうか。

山体崩壊の大噴火でも起きるというのなら話は別ですけどね。

通常の台風による大水+大量の火山灰という事でいうのなら、それより危険度が高いのはむしろ、さらにもっと下流の氷ヶ瀬地区のトンネル付近。

以下は今年8月の映像ですが

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ここが溢れかえってトンネルが埋まると文字通り孤立します。 ここの辺のほうが要監視のような…

ちなみに雨による土石流の可能性が騒がれていた今月3日の同場所はこちら。

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昨年の平穏無事な時期の同場所はこんなかんじでした。

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皮肉な事にこの場所、長年の摩耗で護岸?というか河床?が壊れて以来むしろ安全になりました。鉄筋コンクリ製の河床が健在であった時は、高い位置で水が流れ落ちていたため、トンネルにまで水が及んだことがあったと記憶しています。

ともかく、あまり空論で騒ぎ立てれば、それが積み重なって実際の危難の警告が見逃される危険性が高くなっては、狼少年のごとくに防災に逆効果だと思うのですが…。

以上、書かずに居れなくなり思うままに書いてしまいました。